RBR

Richard Burns Rally

開発 Warthog

 

[ラリーシム。ゲームとして考えるなら並以下]

 

良いところ:走りに関する部分
悪いところ:それ以外のほとんど全て、入手のしにくさ

 

かつてスバルでワールドラリーチャンピオンを獲得したあるドライバーにはこんな逸話がある。
クラッシュ癖で有名な彼はあるラリーでクラッシュを喫してしまい落ち込んでいた。
そんな彼にプロドライブ(スバルのワークスチームであるSWRTの母体)のトップ、デイビッド・リチャーズはこう声を掛けたという。
「心配するな、換えのボディならいくらでもある」

 

そのドライバーの名前はコリン・マクレー。1995年に555カラーのインプレッサを駆ってドライバーズチャンピオンとなり、続く96、97年にもスバルのマニファクチュアラーズチャンピオン三連覇に貢献した偉大なラリードライバーである。
今回紹介するのはそのマクレーの名を冠したコリン・マクレーラリー(以下CMR)シリーズの最新作、Dirt Rally ……ではない。
マクレーがスバルを離れた後、2001年に同じくスバルで世界チャンピオンとなったリチャード・バーンズが監修を務めたリチャード・バーンズ ラリー(以下RBR)である。

 

RBRの話に入る前に、もう少しマクレーとバーンズの二人について書きたい。
先のマクレーのエピソードは彼の壊し屋ぶりをあらわすものだが、同じくスバルでチャンピオンとなったバーンズはマクレーとは正反対のドライビングスタイルだった。
一発の速さよりも確実にポイントを重ねていく安定感が持ち味であり、ニュージーランドでの1勝のみでチャンピオンを獲得した2001年などはまさに面目躍如といったところであろう。
だからと言って決してスピードがないわけではなく、2000年シーズンではチャンピオンこそ獲れなかったものの4勝を挙げている。さらに言えばバーンズが勝利を挙げたシーズンで複数勝利を挙げられなかったのは2001年のみであり、ここからもバーンズがスピードの面からも一流であったことが窺える。
しかし残念ながらその知名度はマクレーに比べてやや劣る気がしてならない。同じ国の出身(イギリス)、同じメーカーでの戴冠(スバル)、同じ戴冠回数(1回)と共通点は多いにも関わらずだ。
共通点と言えば、両者共に自らの名前を冠したラリーゲームが出ているというのもそれに当たるだろう。
マクレーの名前を冠したCMRシリーズは、前述の通り現在ではDirtシリーズと名を変えながらも続いている。一方でRBRはただ一作が出たきりだ。
ゲームを出したところまでは共通しているが、その内容はそれぞれのドライビングスタイルの違いを表すかのように対照的だというのはなかなか面白い。

 

さてそろそろRBRの話に移るとしよう。
RBRは2004年に発売されたラリーシミュレータである。実に12年前の発売という、かなり古いソフトだ。
いつもならばここから良い点と悪い点について述べていくのだが、今回はやや趣向を変えて悪いところから紹介していこう。

 

グラフィックはいまいちだ。DX9時代だから当然、ではなく当時のレベルから見てもしょぼい。
サウンドも絶賛できるほどではない。スキール音は各路面たった一種類しか無い。「少し滑っている状態」と「完全にスリップしている状態」を区別するには視覚とFFBにしか頼れない。エンジン音もそこまでよくはない。
サウンド関連で一番致命的なのは声だ。RBRにはラリースクールがあり、そこではバーンズがラリーカーのドライビングについて講義をしてくれる。またペースノートをコールしてくれるのはリチャード・バーンズとコンビを組んでいたロバート・レイドである。
しかしこの二人の声、本人の声を収録したはずなのに全く似ていない。二人とも実際の(といっても会ったことがあるわけでもなく各種映像から判断したものだが)声よりもかなり低くなってしまっている。レイドに至ってはそのあまりの似なさっぷりにReal RaidというMODまで作られてしまった。
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RBRのグラフィックでおそらく一番酷いのは観客。
スタッフ(一番左の緑の服の人)やカメラマンと違って一切動かないものだから走っている最中でもリプレイでも余計に目立つ。

 

UIは壊滅的にどうしようもない。マウスでメニューを選択できないというのは致命的だ。キーボードでしか操作できない。JoyToKeyを使えばいいのだが、そもそもマウスで操作させてくれればいい話である。
また、例えば上から三番目のメニューを選択し、キャンセルして元の画面に戻るとカーソルが一番上に戻っている。地味だが非常にうっとうしい。

 

セッティング画面でもそのUIが足を引っ張る。
RBRのセッティングはかなり細かく調節でき、例えばバネの硬さなら0.1kN/m単位で動かせる。
そこまでできるのに肝心のUIがキーボード準拠なので最硬から最軟に一気に変更するというようなことができず、それをやろうと思えば←キー(あるいは→キー)を押しっぱなしにしてしばらく待つ以外ない。スライダーをマウスで動かせればと何度思ったことか。
そうしてやっとの思いで作り上げたセッティングを保存するスロットは一車種あたりたったの3つしか用意されていない。セッティングなどターマック・グラベル・スノー用それぞれ一つで十分だとでも言うのだろうか?

 

またRBRはMODの導入を想定していないため、ツールを使わずにMODを導入しようとすると手間がかかる。
MOD導入の例を挙げよう。GTR2の場合、MODの導入は以下のような手順になる。

 

ダウンロードしたファイルを解凍
出てきたファイル(たいていの場合Gamedataフォルダ)をGTR2をインストールしたフォルダに貼り付け
完了

 

これがRBRの場合はどうなるかというと、

 

ダウンロードしたファイルを解凍(そもそもmodelファイルとphysicsファイルのふたつをダウンロードしなければならない)
carフォルダにmodelファイルを貼り付ける
同じ場所にあるcar.iniをreadmeの通りに書き換える
RBRをインストールしたフォルダにあるphysics.rbzを解凍し、展開する
対応する車種のphysicsファイルを導入したいもので上書きする
書き換えたphysicsフォルダを圧縮し、rbzに戻す
圧縮前のphysicsフォルダを削除する

 

いくつか飛ばせる手順もあるが、万全に万全を期すとこうも多くの手順を踏まねばならない。
しかもRBRの場合、やっていることは車の「追加」ではなく「入れ替え」である。
新しく導入する車のかわりに、元の車が使えなくなってしまう。元の車を使いたければ上記の手順をもう一度繰り返すことになる。
ちなみに上記の手順では音は変わらず元のままである。エンジンサウンドを変えたければ似たような手順をさらに踏まねばならない。
またMODの導入を前提としない作りは、長いことMOD作成の障害ともなっていた。例えば、以前のRBRの後輪駆動車のMODはハンドブレーキをかけると前輪がロックしていた。
バニラに存在しない後輪駆動車を「前輪駆動車をバックさせる」という形で無理矢理再現していたためだ。

 

他にも、
セーブを自動でしてくれない。スクールで苦労の末に金を取ろうがSSベストタイムを更新しようがうっかりセーブを忘れれば無かったことになる。
リスタートする度に同じSSにも関わらずいちいちロードが入る。
車はたった6車種、コースは37種類(逆走を除けば25種類)とボリュームが少ない。
車のダメージ表現が一部おかしい。インカットして草むらに触れただけでバンパーがへこみ、木の枝に軽く触れただけでガラス全面にヒビが入る。左足ブレーキを使っているとすぐにガスケットが吹き抜ける。
などなど……。

 

はっきりとしたソースはないが、RBRは元々PC版をリリースする予定はなく、当初はPS2版とXBOX版のみをリリースする予定だったという噂がある。
そう考えればMODアンフレンドリーな作りやマウス操作のできないUIというのはまあ仕方ないか、とは思える。
しかしそれを除いても不満点は山積みだ。人によってはクソゲーの烙印を押す、あるいは押す一歩手前と言えるかもしれない。
ではなぜそんな欠点だらけの、12年前という一昔どころか大昔と言っていいほど前に発売されたものが、今なお高評価を受け続けているのか?

 

「挙動がいいから」と言い切ってしまうのは簡単だ。
確かにRBRの挙動は誉めそやされている。しかし「挙動の良さ」を「モデルとなった車の挙動を忠実に再現していること」と定義するならば、RBRの挙動は良いとは言えない。
RBRの収録車種はスペックを見る限り当時のWRカーをモデルとしている。(S1600のMGは除く)
しかし300馬力程度の実車に比べRBRの車のエンジンは400馬力相当のハイパワーである。
タイヤのグリップも強く、車の動きは妙に軽い。「えっ、これぐらいで?」と思うほどわずかに傾いただけで簡単にひっくり返る。
ターマックではスキール音が一種類の仕様とデフォルトのセッティングが硬めなせいで、かなりスイートスポットが小さく、なおかつそれを感じ取りにくい挙動となっている。ラリーカーというよりもフォーミュラカーのそれに近いこの挙動はしばしば批判の槍玉に挙げられる。

 

ではRBRの挙動はどういったところが評価されているのかというと、それは特定の車種に拠らない領域でのドライビングのシミュレーションだ。

 

例えばコース。RBRのコースは数こそ少ないものの、非常によくできている。
コースは6ヶ国にそれぞれ6SSずつ(例外としてイギリスだけ7つある)あり、国ごとに特色がはっきりと現れている。
跳ねるイギリス、狭い日本、雪のフィンランド、高速のUSA、ターマックのフランス、スリッパリーなオーストラリア。
それらどれもがラリーの難しさというのをこれでもかと味わわせてくれる。
バンプ、クレスト、川、轍、カント……。
コースの途中から路面の性質が変わることもあれば、出走順によって砂利が掃かれグリップが上昇することもある。そうした走行前、走行中の路面変化に対応し好タイムを出すには相当の練習が必要となる。

 

例えばFFB。前述した路面の細かな表情を余すことなくプレイヤーに伝えてくれる。
今4つあるタイヤのどれがどれだけグリップしているか、どれだけ荷重が掛かっているか。こうしたことが文字通り手に取るようにわかる。
「語る」と言っておきながらこうしたことを言うのもおかしいのだが、RBRのFFBの秀逸さは、私の貧弱な語彙と全く上達しないドライビングの腕ではその素晴らしさを完璧に伝えることができない。ただこれまでにRBRのFFBに強い違和感を覚えたことはないということだけは言える。ただの一度もだ。

 

そうして車側から伝えられた情報を元にプレイヤーが取った操作の結果は、おそらく現実世界で同じことをしたときの結果とかなり近い。
それは実車のWRカーとはかけ離れた動きかもしれないが、実際にそういう車があるとすれば同じ動きをするに違いないと思わせるほどに自然なものだ。

 

RBRに面白さを感じるのはかなり難しい。
正確に言うならば面白さを感じている余裕が無い。
代わりにストレスやプレッシャーと言ったマイナス方向の気持ちがのしかかってくる。
常に車の挙動を感じ取るために神経を集中させなければいけないのはサーキットレースと同じだが、ラリーではそれに加えコドライバーからの指示にも耳を傾けなければコーナーひとつ曲がれない。
サーキットのように一息つけるようなストレートは無いか、あったとしても路面が荒れている。吹っ飛ばないように気をつける必要があり、緊張を緩めることはできない。
道幅は狭く路面は荒れていて四輪のうちどれかが接地していないことも珍しくはない。そんな状況では安易なフルスロットルもフルブレーキもご法度である。慣れるまでは直線でスロットルを全開にすることすら満足にできない。

 

つまりRBRでは、実際のラリーと同じような難しさを持った道を実際のラリーカーよりも高性能な車で走っていることになる。
言うまでもなく、私を含め多くのプレイヤーは本物のラリードライバーほどにはドライビングがうまくない。にもかかわらず速い車を走らせるとどうなるかと言うと、その結果は火を見るより明らかで、当然スクラップの山をこしらえることとなる。

 

そうしたことを続けているとだんだん嫌になってくる。
ダメージをオフにすればいいではないかと言う人があるかもしれない。しかしRBRでは完全なダメージのオフというのができない。ダメージ設定をオフにすれば車が走れなくなることはないが、見た目がボロボロになるのは変わらない。これは面白くない。せっかくのかっこいいラリーカー、できれば無傷でフィニッシュまで運びリプレイを鑑賞して悦に入りたい。そうした楽しみ方すらも上達しなければできないのだ。
ある程度上達したとしても状況はあまり変わらない。上達したからと言って鼻歌交じりに気楽なドライブなんてことはできず、今度は少しでもいいタイムでゴールしようという気持ちが湧き上がる。
ただしこれまでの数多のクラッシュの経験から、プレイヤーにはスピードを上げればクラッシュするリスクは指数関数的に上昇していくことがわかっている。
そのタイムを出したいという気持ちとクラッシュへの恐怖の二律背反から生まれるプレッシャーは、いくら上達しようとも常に付き纏いドライビングを楽しむ余裕を奪う。

 

RBRのSSにはふたつのチェックポイントがあり、そこを通過するたびに他のドライバーとのタイム差が表示される。
SSも終盤に差し掛かったふたつ目のチェックポイントを通過し、ライバルとのタイム差が「スパートをかければフィニッシュラインでは逆転できる」程度のものだったとしよう。私はペースを上げることを決める。今までだって決してのんびり走っていたわけではない。ここからペースを上げるとなると一線を越えることが要求される。
ペースを落とせと命じる本能を無視してスロットルを開け、ブレーキを遅らせているとき、私は実際のラリーのそれよりは小さいものの、間違いなく本物の恐怖を感じている。
ブレーキを遅らせすぎて止まれないと気づいたときには本物の焦りが生じ、そのまま木に激突して車が壊れたときには本物の絶望に打ちひしがれる。
綱渡りを乗り切りなんとかゴールまで辿り着けたときには本物の安堵を覚え、さらにライバルに勝っていたら本物の喜びを味わう。
美麗とはお世辞にも言えないグラフィック、良くはないサウンドの「たかがゲーム」を、ただ画面の前に座ってステアリングを模した「たかがおもちゃ」で動かしているだけなのに、私はそこに本物のラリーを体験する。それを可能とするのは現実に限りなく近い、場合によっては現実以上にシビアなラリーシミュレーションに他ならない。
もうひとつRBRの魅力を挙げるとするならば、リチャード・バーンズに教えを受けることができるという点だ。
RBRにはRally Schoolというモードがある。レッスンをクリアしてラリーカーの動かし方を学ぶという、よくあるスクールモードである。スクールはベーシックとアドバンスドのふたつに分かれていて、多くのプレイヤーはそれらを全てクリアするためにかなりの時間を費やす。
レッスン前の解説とドライビング中のアドバイス(「ここでブレーキを踏め」、「スピードを上げろ」など)はバーンズ本人のボイスで、レッスン終了後の走りの評価もバリエーションに富んでいて、まるで本当に本人に教えてもらっているような気分になる。
苦労してスクールを卒業する頃には、プレイヤーはバーンズのことを親しみを込めてバーンズ先生と呼ぶ(人もいる)。何を隠そう私もその一人で、これまでバーンズバーンズと呼び捨てにするのはとても心苦しかった。以下バーンズ先生と呼ぶことにする。
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スクール最終試験ゴールドクリアのご褒美としてバーンズ先生から缶ジュースのプレゼント。
普通ならクリアするまでにかなりの時間がかかっているはずで感動的なシーンなのだが、
思いっきり顔が隠れてるあたりにRBRのゲームとしてのダメさ加減がよく現れている。ちなみに左がバーンズ先生。

 

ラリースクールと言うと、私は初代コリンマクレーラリー(CMR)を思い出す。
初代CMRにも似たようなスクールモードがあり、そこでもマクレー本人がレッスンの解説の読み上げを担当していた(英語版のみ)。
にもかかわらずマクレーがマクレー先生と呼ばれることは、バーンズがバーンズ先生と呼ばれるほどには多くないように思える。何故か?

 

スクールモードなど頻繁にプレイするのはゲームを始めたばかりの極初期のみであり、一度クリアしてしまえばその後二度とやらないというのも十分考えられる。
RBRにおいてもそれは変わらない。
しかしRBRが他と違うのは、バーンズ先生の教えはスクールだけで完結するものではない、というところだ。

 

RBRではコースを選択した後のロード中の画面にTipsが表示される。
そこにはバーンズ先生の(ひょっとしたらスタッフの誰かかもしれないが)含蓄に富んだ言葉が表示されるのだ。
曰く、”Start off slow.” また  “Don’t floor the throttle.” など、速いことが正義だとされる(広義の)レースゲームには全く似つかわしくない言葉だ。
最初にこれを見たプレイヤーの多くは上のような理由で面食らうことだろう。
しかしそれがRBRをやりこんでいるうちにだんだんとその言葉の真意を理解できるようになってくるのだ。
ラリーはその競技の性質上他のモータースポーツに比べてリタイアが多い。一台もリタイア車両の無いラリーというのはある程度のレベル以上ではまず無い。だからこそ完走することが他の競技に比べて大きな意味を持つ。
バーンズ先生は2000年シーズンのWRCにてチャンピオンのマーカス・グロンホルムと同じ4勝を挙げながらランキング2位に終わった。
両者の明暗を分けたのはリタイア回数で、グロンホルムの2回に比べバーンズ先生のそれは5回と多く、そのときの苦い経験が翌年の1勝でのチャンピオン獲得、ひいてはこの箴言に繋がっているのだろう。
しょっちゅう目にするロード画面にバーンズ先生のアフォリズムが表示されるというのは、Rally Schoolと同じぐらい、あるいはそれ以上にプレイヤーの教育に効果的だと考える。繰り返しになるが、スクールモードなど多くのプレイヤーは一度クリアしたらそれっきり、何度も繰り返しやる人はあまり多くはない。そうしたスクールモードでは実践的なテクニックを教え、ラリーを走る上でバーンズ先生が重視する完走の大切さは常に目にすることになるロード画面にて説くというのは意図したものかどうかはともかく、私は上手なやり方だと考える。
もっとも、どれだけ口を酸っぱくして言われてもある程度慣れてくればスタート直後から飛ばすようになり、スロットルは気軽に全開にしてしまうようにもなる。
するとどうしてもクラッシュは増えていくが、ここでRBRのロードの仕様が狙ったわけではないにせよ生きてくる。

前述したように、RBRではリスタートすると同じSSにも関わらず再びロードが入る。つまりはクラッシュしてもう一度最初から走ろうとリスタートを選ぶと、上記の言葉がまるで戒めのように表示されることになるのだ。これは図らずも重要な意味を持っているように思われる。クラッシュした直後にその失敗に対して最もふさわしいアドバイスが送られるのだから、これ以上のタイミングはない。

こうしてプレイヤーはバーンズ先生からの教えを受け続ける。バーンズ先生はスクールモードをプレイしている時だけ先生なのではなく、 RBRをプレイしている限り先生なのだ。

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“Speed isn’t everything” 蓋し名言である。

 

そして、RBRが今日まで世界中で愛されて続けているおそらく最大の要因は、挙動でもFFBでもコースの出来でもバーンズ先生のスクールがあるせいでもない。

 

最近、長らく冬の時代が続いていたラリーゲーム界に雪解けの兆しが見られる。
Dirt Rallyは原点回帰したシム寄りの挙動が好意的に受け止められている。マイルストーンからはセバスチャン・ローブ ラリー EVOという新しいタイトルが発売された。WRC6はSteamの評価を見る限り少なくともどうしようもないクソゲーではないらしい。
中でもDirt Rallyの好評ぶりは凄まじい。どこに行っても批判的な意見を目にしないほどのべた褒めぶりである。いかに初代CMRの方向性をファンが求めていたかを如実に示している。
私も初代CMRをPSでプレイしたことがあるが、あのリアルとゲームが程よく調和した挙動は見事だった。全く練習をせずにうまくいくほど簡単ではないが、そこまで根を詰めなければいけないほどでもない、とてもプレイしていて楽しいタイトルだった。
CMRは2からカジュアル的な挙動に軸を移したので、ファンにとっては2の発売である2000年以来16年ぶりの悲願ということになる。
しかしふと考える。これまでのCMR、つまり2からのカジュアル路線が好きだったファンはDirt Rallyをどう評価するのか?
もしかしたらそのシビアさに嫌気が差し、次回作は従来通りのカジュアル路線に戻せなどというメールをCodemasters(Dirt Rallyの開発元)に送りつけようとしているかもしれない。
好みは人それぞれだが、個人的には現在の路線が望ましい。なのでそんなことをしようとしている人を見つけたら肩を叩き、こう言ってやることにする。
「心配するな、代わりのラリーゲームならいくらでもある」

 

マクレーのカジュアルなCMRには代わりはあるかもしれないが、バーンズ先生のRBRには代わりが無いのだ。
この12年、RBRを超えるものは結局出なかった。これこそがRBRが唯一無二たりえた理由である。
10年以上世界中のラリーシムファンはRBRを超えるものが出てくること(とCMRが初代の路線に戻ること)を望み続けてきた。
誰だってグラフィックが美しいほうが、UIが使いやすいほうが、MODが作りやすく導入しやすいほうがいいに決まっている。
にも関わらずその辺りがまるで駄目なRBRをプレイし続けてきたのは、なにもしょぼいグラフィックや使いづらいUIが気に入っていたわけではなくて、ただ単にそれ以外の選択肢がなかっただけだ。
RBRは確かに最高のラリーシムだ。ただしその「ラリーシム世界一決定戦」の参加者はただ一人である。

 

RBRのパブリッシャーもデベロッパーもRBR発売後それほど経たずに両方消滅してしまった。
それでもしばらくは普通に販売していたのだが、2014年あたりから新品を発売しているところが無くなり、RBRは現在品薄状態である。
Amazonではこの記事の執筆時点で中古が2万円、新品未開封では2万7千円とかなりの高値である。個人的にそこまで出すほどのものではないと思うのでヤフオクやebayで中古の出品を探すのが良いだろう。
以前私はGTR2の再販は絶望だと書いて一ヶ月もしないうちに再販が始まるということを経験したが、RBRの状況はGTR2よりもさらに厳しく今度こそ本当に絶望だと言って間違いない。
なにしろパブリッシャーもデベロッパーも早々と消えたのにそれから10年近く販売が続いていたのがもう奇跡のようなものだったのだ。
RBRの再販は無い。RBRに代わるラリーシムが出てくるまでRBRの相場は上がることはあれど下がることはないだろう。欲しい方は早めに手に入れたほうがいい。

 

……こう断言しておけばGTR2の時みたいにまた恥をかくことになるかもしれない。そうなってほしいものである。