まずはこちらの動画をご覧ください。

全部見ましたか?あるいはあまりの遅さに途中で見るのをやめましたか?
いやはや全く酷い走りでしたね。
ブレーキは早い。クリップにつけてない。シフトがぎこちない。ステアリングが小さすぎる。
こういう下手くそこそレースシムで練習すべき、そう思いませんか?
思いますよね。

……レースシムを始めてそろそろ6年になります。

去年の暮れになりますが始めてサーキットを走りました。
そのときの様子が冒頭の動画です。
場所は岡山国際サーキットで車はほぼノーマルのNB8Cです。
参考までに似たような組み合わせを挙げますと、私がiRacingで岡山をMX-5で走ったときのベストが1分52秒台です。
対して今回のリアルサーキットアタックでは2分20秒くらいでしょうか。
iRacingのMX-5はスリックを履いたカップカー、対してこちらは終わりかけのラジアルを履いたノーマル。
他にも路面がちょい濡れだった、速い車を避けたなど条件は違いますが、それでも「もうちょっと速く走れたのでは……」という気持ちが無いと言えば嘘になります。

さてこれまで(といっても記事全然書けてないけど)述べてきたように、今やレースシムと実車の挙動はほとんど同じ、というのが私の意見であり、これは大きく的を外したものでもないと思います。
それはプロがトレーニングにシムを使っていることや、「シム上がり」が実際のレースでも活躍をしていることからも明らかです。
ではなぜ6年レースシムをやっている(けど遅い)私が実車ではさらに遅いのか?
レースシムというソフトは問題でないならば、原因は別のものでしょう。

シムと実車で最も違うのは言うまでもなく前後左右のGです。
動画の中でもブレーキングのたびに前のめりになっているのがわかるかと思います。
前のめりになればシートから体が離れ、いわゆる腰のセンサーが機能せず限界付近の挙動を感じにくくなってしまいます。
結果スピンを恐れて強いブレーキを踏めず、ブレーキ開始地点が早くなってしまう……といったところでしょうか。
左右Gもまた予想以上に大きな影響を及ぼしていました。
ウィリアムズコーナー(2コーナー)は動画では大したことないように見えますが、実際に走ってみるとうねって逆バンクになっており、しかも中速コーナーなので怖くてたまりません。
逆バンクと横Gのせいで首が傾き、Gセンサーがさらに鈍り(人間の加速度センサーは三半規管らしいです。当然水平でなければはたらきは鈍ります)、スピンを恐れて以下同文。

もうひとつはブレーキです。
私はG27を使用していますがこのクラスのハンコンだとペダルはボリューム式、つまり「どれだけの量を踏んだか」でコントロールします。
これはアクセルとクラッチならそれほど問題ではありませんが、ブレーキでは少々具合が悪いのです。
実車のブレーキは回転しているものを止めるわけですから、踏力の強弱がそのままブレーキの強さになるのは皆さんご存知の通りです。
これは今回初めて気付いたというわけでもありませんが、まさか街中でフルブレーキの練習をするわけにいかず、サーキットで慣れようと思っていたら違和感はついに拭えないまま走行が終わってしまいました。

これらふたつから導き出されるのは「ソフトは良いがハードが悪い」ということ。
F1チームが使ってるような高級シミュレータを普段から使っていれば私も速く走れたに違いない!
……と結論付けるほど私は自分に自信を持っていません。

プロのドライバーがレースシムをプレイする動画を見ると、驚くことがひとつあります。
最初はGの欠如やペダルの踏み応えといった実車との違いに戸惑うのか、メタメタな走りだったのが
何周か走っただけで彼らが普段実車で見せるようなドライビングになっているのです。
思うに、そこが私のような下手くそとプロの違いなのでしょう。
彼らには「こういう操作をすれば車はこう動く」という絶対的なイメージがあり、
その操作を実際に行い、もし予想と違った動きが返ってきた場合には「どうすれば思ったとおりの動きになるのか」を天性のひらめきか、あるいは膨大な経験から見つけ出すかして、すぐに車を思ったとおりにコントロールしてしまうのです。
対して私はこの能力が低い、あるいは欠如しているのでしょう。
言ってしまえば「私にはセンスが無い」ということになります。
シム始めて6年になろうかというのにやっと気付いていることがそれを補強しているような気もしますが。
しかし私はプロではないので遅くても許される身。
これからは車の挙動を予測し感じ取るということを念頭に置いて練習すべき、という方向性が見えてきただけでも良しとしましょう。
目指すべき方向が見つかれば後は進むのみ。すぐに結果を求められずどれだけ時間が掛かってもいいのはアマチュアの特権です。

また近いうちにサーキットには行こうと思っています。
次は前述したような反省点を克服しなかればなりません。
ブレーキフィールに慣れ、四点ベルトをつけ、ステアリングは大きくする。
ベルトとステアリングはともかくとして、問題はブレーキフィールです。
フルブレーキの練習なんておいそれとできるものではありません。
そこで実車のフィールに近いと評判のNIXIMのブレーキMODをポチりました。
組み込んで試してみるとアクセルペダルのボリュームがおかしい。微妙に踏まれた状態になったりならなかったり。
「やらなきゃよかったかも」とちょっとだけ思いながら再びG27をばらします。
すると今度はアクセルペダルのネジをなめてしまいました。さらにへこむ。
それでもなんとか組み直してみたらボリューム直ってないし。

……果たして私の進むべき方向はこれで合っているのでしょうか。

ブレーキMOD自体はとても良いです。おすすめです。